

「事業仕分け」という言葉を初めて聞いたとき、膨大な国家予算のどの項目を対象として論議するのか。さらに、論議は原則一時間で結論を出すことなど不可能ではないか、というのが率直な感想であった。
事業仕分けは、民間シンクタンク「構想日本」により、すでに40を超える自治体で実施され、平均1割弱の予算を削減してきた実績がある。とは言っても、国の予算編成でこの手法が効果を発揮するのか疑問があり、逆に、膨大な情報を握っている官僚に有利なのではという不安もあった。
しかし、事業仕分けが始まると、仕分け人の国民目線に立った素朴な質問に対し、各省の担当者がストレートに答えられない場面が随所で見られ、前例踏襲型予算編成を長年行なってきた省益優先の官僚政治の姿が浮かび上がった。その結果、私も含めて多くの国民が、今日までの予算の決め方に疑問を持つと同時に、今後の税金の使い方に関心を持ったことと思う。
その反面、①短時間で本質的な議論が尽くせない②公開裁判的で政治ショーとなっている③次世代スーパーコンピュータ開発など科学技術予算削減には、ノーベル賞受賞者6人が共同記者会見で民主党政権の国家戦略を問題視──などの課題も浮き彫りとなった。
賛否両論あった事業仕分けは、9日間で約1兆7000億円の予算を削減して終了した。
新たなことを始めると、常に賛否両論はある。今回の事業仕分けも、改善すべき課題はあるものの、戦後政治の抜本的転換を図るための第一歩として、民主党政権の決意を国民へ発信したものとして評価したい。今後は、国民の貴重な財産を生かしきる予算編成を鳩山内閣に求めたい。
(大澤)